植えなおされた花の下。
非常にショッキングかつとても悲しいことに、レオがどっかの車に撥ねられて死んでしまいました。
夜、弟に呼ばれて家の外に出てみると、父が新聞紙になにやら包もうとしています。良く見るとそれがレオの亡骸でした。
しかし、パッと見ても、死んでいるようには見えません。外傷も見当たらず、まるで眠っているようでした。触ってみると、まだ暖かいのです。ひょっとして気絶しているだけじゃないだろうかと、何度か揺すって見ました。しかし、反応はありません。何回かそうしているうちに、舌がだらりと出てきて、わずかに血のにじんだ唾液がたれました。
そうか、死んでるんだな。千歳はようやく納得して、父がレオの亡骸を新聞紙に包んで持ち上げるのを黙って見つめました。
「埋めてやらないかんなあ」
母が手入れをしている、庭だか畑だか良くわからない土地が家の横にあって、数年前、レオの母親が死んだときに埋めてあげた場所に、今ではコスモスが咲き乱れています。その横には、名前は忘れましたが母が植えた背の低い花が、コスモスに比べると多少控えめに咲いていました。その花を母が丁寧にどけるのを見届けてから、千歳と弟は穴を掘りはじめました。
「浅いと匂いがきついから、深く掘らないかんぞ」
父がそういうので、深い穴を掘りました。
みんなが納得するだけ掘って、次にレオをそこに入れてやる順番になりました。千歳はもう一度、レオの頭をつついたり体をゆすってみたりしてみたのですが、やっぱり反応はありません。どうしたって、レオは死んでいました。動かないレオを穴の中に入れます。後は土をかぶせるだけです。土をかぶせたら、もうレオを見ることは出来ません。ひょっこりどっかから現れるということもありません。
それはとても淋しい事ですが、のんびりしていたら死後硬直が始まってしまいます。そうしたら体も今のようにきれいには丸まってくれないし、もっと大きな穴を掘らないといけなくなります。それに、硬くなったレオの死体は見たくありませんでした。最後にレオの頭をなでてから、千歳は弟と一緒におとなしく土をかぶせてやりました。
せっかく帰ってこれたのにな。
餌が毎日ちゃんと食べられるようになったのに。
こんなことなら、普段もっと頭をなでてやったらよかった。頭をなでられるのが好きな猫だったから。
土をこんもりのせると、雨で地面がへこまないように、足で土を踏んで地面を硬くしました。それからお祈りして、一家は家の中に戻りました。
次の日、レオを埋めた場所には、どけてあった花が植えなおされてありました。

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