本当にレオ!?
今日は母はウォーキングに出かけるときにキャットフードを持っていったということでしたが、帰ってきたときには戦利品に猫を一匹連れて帰っていました。
家の外で母がその猫にキャットフードをあげているところに、外出していた千歳は帰宅し、その猫を見て感想をもらします。
「えらい痩せ細った猫だね」
「レオよ」
母がそう答えました。え?
その猫は銀色の毛並みに縞模様がありました。確かにレオと似た毛並みですが、あの無邪気に丸々と太っっていたレオの面影はまるでありません。
「マジで?」
「ニャー」
千歳が近寄ろうとすると、その猫は慌てて車の下に逃げ込みます。
もしあの猫がレオだとすれば、もう三年も会っていなかった千歳の顔を忘れていることは確実です。
「お墓で見つけたのよ。お墓を住処にして、そこでお供え物を食べて生きてたみたいね」
「……誰かに見つかったら叩かれたりしただろうなあ」
それで、すっかり人に対して用心深くなったのでしょうか。あの猫が本当にレオだとすればですが。
「レオよ」
母は言い切ります。
「……たぶん」
いや、案外自信ないみたいです。
そんな話しをしているうちに、車の下に隠れていたレオがニャーニャー鳴きながら出てきました。千歳に擦り寄ってきます。
そこに弟がやってきました。
「なに、その猫?」
「レオだって」
千歳が言うと、弟は失笑します。
「レオじゃないって。レオは死んだんだから」
弟は、レオが近所の猫嫌いに毒を盛られて死んだのだと思い込んでいます。
「それにほら、レオはもっとひげが長かったじゃん。この猫みたいにひげ短くなかったって」
さすが弟。ひげの長さで猫を判別するなんて発想が凄いです。
まあ弟の意見は放っておいて、千歳はこの猫がレオかどうか、再検証することにしました。
確かにこの毛並みは独特で、そうそう見かけられるものではありません。尻尾が異常なほど長いのもレオの特徴でしたが、確かにこの猫の尻尾の長さも相当なものです。
レオは確か肉球が肌色だったな。千歳は猫の肉球の色を確認します。確かに肌色です。
それと、かなりの臆病者で、あと甘えん坊だった。
「ニャー、ニャー、ニャー」
猫は千歳が多少強引に肉球の色を確かめたのにびっくりして、また車の下に隠れていました。けど、ずっと何かを訴えるように鳴き続けています。
そうして、また恐る恐る車の下からでてきて、千歳に擦り寄ってくるのです。
人が恐い――けど甘えたいといった様子です。
「……確かにレオかも」
「でしょ?」
「いや、レオじゃない。たぶんレオの息子や」
またまた弟が言い切ります。相変わらずもの凄い発想です。
そこに父が仕事から帰ってきました。猫を見るなり言います。
「お、レオが帰ってきたか。どこにいたんだ?」
「………………」
「………………」
「……レオじゃないって」
「ニャー、ニャー、ニャー」
話し合いの末、とりあえず、この猫がレオかどうか確かめようということになりました。
しかし記憶にあるレオと比べて、あまりにもこの猫が痩せている為、100%レオであるという確信を、父以外の誰も持っていないのが現状です。しかし同時に、レオでないという確信も、弟以外の誰も持っていないのです。
だから、この猫がレオなのかどうか、実際太らせてみて確かめる作戦です。
というわけでこの臆病で人懐っこい猫は、レオという名を暫定的につけられ、濱田家で餌を与えられる事になりました。

コメントしてください

Trackback Information
